Q4-5. いまの在日朝鮮人に対する差別や迫害は存在するのでしょうか?
A.在日朝鮮人に対する差別、迫害行為は、戦後も今に至るまで繰り返されています。在日朝鮮人を標的にした右翼団体や市民らによる朝鮮学校前や街頭、ネットでの迫害・殺害煽動は後を絶ちません。
また、朝鮮学校は2010年度から各種学校として認可されている全ての外国人学校を対象に含め実施されている「高校無償化」制度の対象から除外され、それに相次ぎ、地方自治体による補助金も「県民の理解が得られない」等という理由で削減され、朝鮮学校の児童・生徒、教職員の人権は脅かされています。
そのほかにも就職や住居差別、「北朝鮮バッシング」や歴史的背景に対する無理解など、日常生活のいたるところまで在日朝鮮人に対する差別は根強く存在しています。在日朝鮮人の多くは民族名(朝鮮名)ではなく、日本名を使い生活しています。多くの在日朝鮮人にとって日本社会は、民族名(朝鮮名)を積極的に名乗って生きようと思える社会ではないのです。
こういった事件や問題は最近、起こり始めた出来事と思う方もいるかもしれません。しかし、朝鮮人に対する民族差別と迫害は関東大震災・朝鮮人虐殺などの過去の出来事と切り離されているわけではなく、むしろ繋がっています。そして、その根底にはこうした歴史の未清算と歴史否定論があります。
「在日朝鮮人」という存在の形成は日本の朝鮮植民地支配に起因しています。しかし、日本では朝鮮植民地支配の責任と向き合うどころか、関東大震災・朝鮮人虐殺のような事件をも否定するような風潮さえ見られます。こういった歴史の未清算と責任の否定、歴史否定論は、在日朝鮮人に対する無知と無理解、偏見につながり、民族教育の弾圧や民族差別煽動などといった迫害に繋っているといえます。歴史の清算がされていないなかで現在の差別構造が存在します。だからこそ、これを解決するためには正しい歴史を学び、発信し続けることが重要ではないでしょうか。