Q3.朝鮮人虐殺のその後(1)

A.朝鮮人暴動の実在が怪しまれ虐殺の国家責任が問われかねない状況のなかで、官憲らは9月5日に「朝鮮人の暴行又は暴行せむとしたる事実を極力捜査し、肯定に努むること」という方針を決定します。虐殺発生後に朝鮮人暴行の事実をこれから探し出そうとしたのです。

 虐殺に対する国家の事後責任として、①朝鮮人「暴動」の捏造、②見せかけの裁判、③朝鮮人死体の隠匿、④自らの責任を隠す発言や歴史書の編纂、⑤抗議と追悼のための運動弾圧などの問題を考える必要があります。

 実際に旧四つ木橋に遺体を埋まっていると聞いた遺族らが発掘を試みましたが、見つかりませんでした。前日の夜警察によって遺骨が掘り出されていたためです。遺体は遺族に引き渡されることもなく、日本人とも朝鮮人ともわからないように処理されました。

 虐殺に関して裁判も行われましたが、被告人の多くは執行猶予となり実刑を科せられた者は少数でした。国家責任に関しては排除され、自己保身を図る見せかけの裁判だったのです。