<参考>朝鮮問題に関する協定 極秘
警備部
鮮人問題に関する協定
一、鮮人問題に関し外部に対する官憲の採るべき態度に付、九月五日関係各方面主任者事務局警備部に集合取敢へず左の打合を為したり。
第一、内外に対し各方面官憲は鮮人問題に対しては、左記事項を事実の真相として宣伝に努め将来之を事実の真相とすること。
従って、(イ)一般関係官憲にも事実の真相として此の趣旨を通達し、外部へ対しても此の態度を採らしめ、(ロ)新聞紙等に対して、調査の結果事実の真相として斯の如しと伝ふること。
左記
朝鮮人の暴行又は暴行せむとしたる事例は多少ありたるも、今日は全然危険なし、而して一般鮮人は皆極めて平穏順良なり。
朝鮮人にして混雑の際危害を受けたるもの少数あるべきも、内地人も同様の危害を蒙りたるもの多数あり。
皆混乱の際に生じたるものにして、鮮人に対し故らに大なる迫害を加へたる事実なし。
第二、朝鮮人の暴行又は暴行せむとしたる事実を極力捜査し、肯定に努むること。
尚、左記事項に努むること。
イ、風説を徹底的に取調べ、之を事実として出来得る限り肯定することに努むること。
ロ、風説宣伝の根拠を充分に取調ぶること。
第三、ゝゝゝゝゝゝ(ママ)
第四、ゝゝゝゝゝゝ(ママ)
第五、ゝゝゝゝゝゝ(ママ)
第六、朝鮮人等にして、朝鮮、満州方面に悪宣伝を為すものは之を内地又は上陸地に於て適宜、確実阻止の方法を講ずること。
第七、海外宣伝は特に赤化日本人及赤化鮮人が背後に暴行を煽動したる事実ありたることを宣伝するに努むること。
【出典】姜徳相・琴秉洞編『関東大震災と朝鮮人――現代史資料』(みすず書房)、79頁